テナントビル電気容量の計算方法、kWとは?飲食やサウナの必要目安も

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テナントビル電気容量の計算方法、kWとは?飲食やサウナの必要目安も

これから店舗や新規事業を立ち上げるテナントビルの選定で、意外と課題になることが多い電気容量。

どのような業態の店舗でも営業中の停電は許されないことですから、必要な電気容量をクリアできるテナントビルをしっかり見極めなければいけません。

今回は基本的な電気容量の計算方法、テナントビルのチェック方法などを具体的に解説します。

 


コラムのポイント

・電気容量kW、電流A、電圧Vの関係性と計算方法を再確認しましょう。

・業種ごとの必要電気容量の目安と考え方を解説します。


 

テナントビルの電気容量は要チェックポイント

テナントビルの電気配線

開業する業種や店舗の規模によって必要な電気容量は変わりますが、テナントビル選びにおけるハードルになることが多いです。

テナントビルは物件ごとに電気の契約方法や配線構造が違うため、容量が足りない場合簡単に対処できないこともあるのです。

建物の構造的に電気容量を上げられないケースや、オーナーの許可が得られないケースなどもあります。

使用する設備や電気機器に対してビルの電気容量が不足すると、営業中にブレーカーが落ちたりそもそも開業できなかったりといったトラブルの可能性が。

開業予定の店舗でどれくらいの電力を使うのか把握し、テナントビルの電気容量が足りるのかチェックする必要があるのです。

 

テナントビル電気容量の計算方法

まずは基本的な電気の計算方法を再確認し、テナントビル電気容量の具体的な計算方法も覚えておきましょう。

 

kWとは

kW(キロワット)は電力のことで、電流であるA(アンペア)、電圧であるV(ボルト)と次のような関係です。

 

  • W(電力)=A(電流)×V(電圧)

 

k(キロ)は1000の単位なので、1000W=1kWとなります。

電気機器には消費電力Wが表記されていることが多いですが、その場合は上の式を変換してWをVで割るとAを求めることができます。

 

  • 1000W ÷ 100V = 10A
  • 1000W ÷ 200V = 5A

 

1000Wの電子レンジの場合、100Vで使うと10A、200V使うと半分の5Aの電流が流れるということです。

この基本的な関係性と計算式を覚えておけば、電気機器の消費電力やテナントビルの電気容量どちらも確認することができます。

 

テナントビル電気容量の確認方法

テナントビルの50Aブレーカー

具体的なテナントビルの電気容量を確認するには、まず契約アンペア数を確認します。

テナント内にブレーカーが設置されている場合は、アンペア数が記載されているはずです。

ブレーカー見つからず確認できない場合は、オーナーや不動産会社に確認してもらいましょう。

ブレーカーが50Aのテナントビルの場合、前述した計算式に当てはめて次のように電気容量を求めます。

 

  • 50A×100V=5000W=5kW

 

50Aのビルの電気容量は5kWということになります。同時に5kW(5000W)までの電気機器を使用できるということですね。

店舗で使用する電気機器の消費電力の合計を確認して、電気容量の上限を超えないテナントビルを選ぶという流れになります。

 

業種別必要電気容量の目安

続いて、店舗側でどれくらいの電気容量が必要になるのか、3つの業種を例に挙げて考えてみましょう。

実際は店舗の広さやレイアウトによって変わりますが、必要電気容量の基本的な考え方として目安にしてみてください。

 

飲食店の必要電気容量目安

居酒屋の店内で必要な電気容量

飲食店は業種や店舗の規模によって必要となる電気容量が変わります。

一般的には軽飲食→和食→中華のように業種によって電気容量が増える傾向があり、4kW~6kWが目安と言われています。

 

10坪前後の居酒屋を想定すると、営業中大きな電気を使う機器は次のようなものが考えられます。

 

  • エアコン 2000W
  • 冷蔵庫 300W
  • 製氷機 200W
  • 食洗機 700W
  • 照明 500W
  • 合計 3700W

 

上記で必要な電気容量は3.7kW=37Aになるので、調理以外に使う電気機器も考えると40A契約のテナントだと少し心もとない印象ですね。

消費電力の大きいエアコンは200Vの機器なら同じパワーでも合計2.7kWになるので、40Aでも余裕がありそうです。

 

オフィスの必要電気容量目安

テナントビル内のオフィスに必要な電気容量

オフィスはスタッフの人数によって必要な電気容量が変わります。

5人程度の小規模なオフィスに必要なのは4kW程度と言われていますが、具体的にどんな電気機器があるのか見てみましょう。

 

  • ノートパソコン 100W(20W×5人)
  • デスクトップパソコン 300W(60W×5人)
  • 複合機 150W
  • シュレッダー 300W
  • エアコン 1000W
  • 照明 500W
  • 合計 2350W

 

2.35kWなので30Aのテナントビルでも足りますが、電子レンジや個人用の暖房機器など消費電力の大きい物を同時に使うとブレーカーが落ちる可能性があります。

ウォーターサーバーや自販機などを設置する場合も、さらに必要電気容量が増えるので注意しましょう。

スタッフや電子機器が増えることなども想定すると、やはり目安の40Aは確保しておきたいところです。

オフィスの床面積やスタッフ数によって必要な電気容量も変わるので、実際に設置する電気機器をリストアップしてチェックしましょう。

 

サウナの必要電気容量目安

電気容量の大きいサウナストーブ

消費電力が大きい設備が多いサウナは、必要な電気容量もかなり多めでテナントビル選びのハードルも高いです。

30坪前後の店舗で5~6人のサウナを男女別に設置する場合、必要な電気容量は30~40kW前後が目安です。

5~6人前後のサウナストーブは10kW前後で、男女別二台必要になるので消費電力も二倍になります。

またサウナは一般的な店舗設備に加え、公衆浴場法の基準をクリアするための換気設備、水風呂の循環冷却など消費電力の高い設備も多いです。

サウナは特殊な設備が多く一般の方が必要電気容量を正確に予測するのは難しいため、必ず専門家のアドバイスを聞いてテナントビルを選びましょう。

 

テナントビルの電気容量が足りない時の対処は?

施工会社とテナントビルの電気容量チェック

もし検討中のテナントビル電気容量が足りないときは、電気工事のことまで判断できる施工会社と現地調査して対処を考えましょう。

テナントビルは物件ごとに電気配線の状況や契約方法が異なるため、電気容量が足りないときの対処法も一つではありません。

オーナーが電力会社と一括契約している場合と、各テナントが個別契約している場合など、さまざまなケースが考えられます。

電気工事士という国家資格があるくらいですから電気のことは非常に難解で、オーナーや不動産会社に聞いても分からないことがほとんどです。

「これくらいあれば足りるだろう」「後で容量を上げられるだろう」など推測で契約を決めてしまうと、設計段階で電気容量が足りず大変なことになる可能性があります。

また前述したような業種ごとの大まかな必要電気容量の目安はありますが、実際は作る店舗によって多少の差が出ます。

思ったより消費電力が多くビルの電気容量が不足することも考えられるため、開業予定の業種に詳しい専門家にチェックしてもらうのが望ましいです。

なるべく現場のことまでわかる施工会社の担当者に同行を依頼し、電気容量の過不足や対処方法をアドバイスしてもらいましょう。

 

まとめ

消費電力の大きな電気機器が増えている現代、テナントビルの電気容量は重要な選定条件の一つです。

電気容量が不足すると営業中ブレーカーが落ちるなど、重大なトラブルの原因になります。

必ず店舗施工と電気工事に詳しい専門家に相談して、必要な電気容量をクリアできるテナントビルを見極めましょう。

 

秀建のオフィス外観

テナントビル選びや店づくりのことは、商業施設・店舗施工のプロフェッショナル秀建にご相談ください。

飲食店・オフィス・温浴施設などさまざまな店舗施工の経験をもとに、電気容量も含めたテナントビル選びのお手伝いが可能です。

テナント物件の内見同行やアドバイスもできますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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