サウナ開業に必要な営業許可|公衆浴場法まとめ
昨今のサウナブームを肌で感じ、『自分もサウナを経営してみたい!』と思う方も多いのではないでしょうか。しかし、具体的に何から進めていけばいいのかわからない…という方も多いもの。
サウナを開業する場合、『公衆浴場法』に定められている構造設備基準や適正配置基準に基づいて設計・施工し、営業の許可を得る必要があります。そこで今回のコラムでは、スムーズに営業許可を得るためにはどのような設置基準を満たす必要があるのか、どのような流れで手続きを行うのか、など事前に確認した上で準備を進めていけるようにサウナ開業の知識ゼロの方に向けて、法令や営業許可を解説していきます。
コラムのポイント
・サウナ開業には『公衆浴場法』に基づいた営業許可を得る必要がありますが、消防法や都市計画法、建築基準法といった様々な法令も関係するためあらかじめ確認しておくことが大切です。
・設置基準を満たした上で、さらにどんな設備が必要になるかは出店の規模や地域によって異なります。サウナ施工実績の豊富な会社とともに開業準備を進めていきましょう。
サウナ開業に必要な営業許可は?
公衆が利用する入浴施設である『公衆浴場』は、『普通公衆浴場』と『特殊公衆浴場』の大きく2つに分けられます。普通公衆浴場は銭湯のことを指し、特殊公衆浴場はスーパー銭湯やスポーツジムのお風呂、サウナなどのことを指します。
サウナを開業する場合、厚生労働省管轄の『公衆浴場法』に定められている構造設備基準や適正配置基準に基づいて設計・施工し、サウナ施設所在地を管轄する保健所長の許可を受ける必要があります。
ただし、すでに温泉施設として開業している施設にサウナを新設したり、旅館を大幅にリニューアルして温泉を設置したりする場合、旅館業法の適用を受けているなどの理由で公衆浴場法が適用外になるケースもあります。施設によって条件が異なるため、事前に保健所に相談することをおすすめします。
厚生労働省:公衆浴場法概要
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/seikatsu-eisei/seikatsu-eisei04/04.html
営業許可申請と手続きの流れ
サウナ開業に向けて営業許可を取得する場合、以下の流れで手続きを進めていきます。
① 事前相談
サウナの営業許可を取得するためには、立地条件に関する規定や構造基準、衛生管理基準といった様々な法律や条例が適用されているかの確認が必要です。そのため、計画段階でサウナ施設の平面図を持参の上、保健所に相談しましょう。
また、サウナ施設は消防法や都市計画法、建築基準法といった様々な法令も関係してきます。関係部署にも、事前に相談しておきましょう。
② 申請の手続き
以下の書類を準備し、保健所に提出・申請します。
・公衆浴場営業許可申請書
・構造設備の概要書
・建物の平面図及びその諸施設の配置図
・付近見取図(建物の周囲400m以内の道路及び人家等の大略を示した縮尺1/2500のもの)
・90日以内に取得した定款又は寄附行為の写し及び登記事項証明書
・建築基準法に基づく検査済証の写し
・消防法令適合通知書
・許可申請手数料:23,000円(千葉県の場合)
申請書が受理されると、建築基準法や消防法などの手続きが記載された文章が交付されます。消防機関等とのやりとりもしながら、サウナ施設の設計・施工を進めます。
③ サウナ施設の検査を受ける
サウナ施設が完成したら、設備基準に適合しているかどうかなど保健所の検査を受けます。この時、『建築基準法に基づく検査済証の写し』が必要です。
④ 営業許可を受ける
提出書類の審査と施設検査により、基準に適合していることが認められると営業許可を得ることが出来ます。
参考記事:【銭湯の新規参入】固定客を掴む施設づくり3つのポイント
サウナに必要な設備
サウナ施設をつくる場合、サウナスペース以外にも以下の設備が必要です。それぞれの設備を充実させることで、顧客満足度の高いサウナ施設にすることができます。
受付スペース
接客だけでなく、フロアの清掃やトイレ掃除、タオルやマットの洗濯など様々な業務を行うため、適切なスペースを設けスムーズに仕事を進められるように工夫します。
リネン庫
タオルやマットなど大量のリネンを使用するため、清潔な状態で保管できるリネン庫が必要です。適切なサイズ、場所に設置することで使い勝手がよくなります。
バックヤード
給湯やチラー等の機械室や、備品を管理したり、施設内で提供する料理をつくったり、様々な作業をするバックヤード。こちらも余裕を持ってスペースを設けておくことで、作業効率化を図ることができます。
トイレ
受付スペース周辺に設置された服を着たまま使用するトイレと、脱衣室または浴室内に設置された裸で使用できるトイレの2種類が必要です。
水風呂
サウナ利用者にとって、水風呂は欠かせません。サウナで拡張した血管を急激に冷やし自律神経系を『整える』役割があるため、サウナの側に設けます。深さや水温で差別化を図るために、数種類設置するサウナ施設もあります。
外気浴スペース
サウナ利用者にとって、外気浴スペースも必要不可欠です。水風呂から外気浴という行動を速やかに行うことでより『整う』ことができると言われているため、移動を考えて設置するのがポイントです。
自販機・休憩スペース
火照った体を休めリラックスするために必要な自販機・休憩スペースは、顧客満足度を高めるだけでなく収益を上げやすい場所でもあります。余裕を持って広めにつくるのがおすすめです。
その他にも、機械室やパウダールーム、脱衣室(ロッカールーム)が必要です。出店の規模や地域によってどんな設備が必要かが変わってくるため、サウナ施工実績の豊富な会社とともに開業準備を進めていくようにしましょう。
公衆浴場法に基づくサウナの設置基準
サウナに必要な設備は、場所によって以下のような構造設備基準や適正配置基準を満たす必要があります。
それぞれの区画
・下足場、脱衣室、便所及び浴室は、壁で仕切るなど適当な方法で区画すること
・浴場内にある各場所は、十分な照度があるようにする
脱衣室・浴室
・脱衣室及び浴室は、男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・脱衣室の床材には不浸透性の材料を使用する
・開放できる窓または換気設備を設ける
・十分な明るさの照明設備を設ける
・利用しやすい場所に男女別のトイレと流水式手洗い設備を設ける
・浴室の床は耐水性の材料を用いて、流し湯が停滞しないように勾配をつけ、掃除しやすい構造にする
・浴室の周壁には、耐水性の材料を床面から1mの高さまで設ける
・洗い場には十分な数の給水栓、給湯栓を設ける
浴槽を設置する場合
・浴槽の外に溢れた水や洗い場で使用した水や湯が浴槽内に侵入しない構造にする
・浴槽から溢れた水や湯を再び浴槽用として使用にしない構造になっている
・気泡発生装置やジェット噴射装置を設置する場合、空気取り入れ口に土埃が入らない構造にする
・循環している浴槽水を打たせ湯やシャワーに使用しない構造になっている
屋外に浴槽を設置する場合
・屋外の浴槽につながる通路は、浴室などから直接出入りする構造にする
・男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・洗い場を設けない
サウナ室
・男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・床には必要に応じて排水できるよう、適当な勾配や排水口を設置する
・給気口及び排気口を適当な位置に設け、換気を適切に行うことができるようにする
・ 脱衣室又は洗い場から、サウナ室を見通すことのできる窓を適当な位置に設ける
・サウナ室の室内には非常用ブザーを設置する
・ 浴場内に娯楽室のような附帯施設を設ける場合は、サウナ室と明確に分ける
これからサウナ事業を始めるなら…
今回は、サウナ開業の知識ゼロの方に向けて、法令や営業許可を解説しました。サウナ開業には、消防申請、保健所(営業許可)申請、場合によっては建築確認(用途変更含む)申請、男女同室利用の場合は風営法申請など様々な申請をし許可を得る必要があります。どんな法令の確認が必要なのか、把握した上で開業準備を進めていきましょう。
サウナのタイプや費用など、サウナ関連の『よくある質問』をまとめましたのでこちらもご覧ください。
▶︎よくある質問
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