サウナ開業に必要な営業許可|公衆浴場法・消防法・建築基準法の基準

温浴

サウナ開業に必要な営業許可|公衆浴場法・消防法・建築基準法の基準

昨今のサウナブームを肌で感じ、『自分もサウナを経営してみたい!』と思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、温浴施設は建築基準法・公衆浴場法・消防法などの対象となるため、営業許可を受けるまでのハードルが高いイメージがありますよね。

そこで今回は、サウナで営業許可を得るためにクリアすべき法基準や手続きの流れなどを詳しく解説します。


コラムのポイント
・サウナ開業には『公衆浴場法』に基づいた営業許可を得る必要がありますが、消防法や都市計画法、建築基準法といった様々な法令も関係するためあらかじめ確認しておくことが大切です。
・設置基準を満たした上で、さらにどんな設備が必要になるかは出店の規模や地域によって異なります。サウナ施工実績の豊富な会社とともに開業準備を進めていきましょう。


 

サウナ開業に必要な営業許可は?

サウナ開業の営業許可

サウナ開業で営業許可や届出などの手続きが必要となるのは、公衆浴場法・消防法・建築基準法の3つの法律です。

 

公衆浴場法

サウナを開業する場合、厚生労働省管轄の『公衆浴場法』に定められている構造設備基準や適正配置基準に基づいて設計・施工し、サウナ施設所在地を管轄する保健所長の許可を受ける必要があります。

公衆が利用する入浴施設である『公衆浴場』は、『普通公衆浴場』と『特殊公衆浴場(その他の公衆浴場)』の大きく2つに分けられます。普通公衆浴場は銭湯のことを指し、特殊公衆浴場はスーパー銭湯やスポーツジムのお風呂、サウナなどのことを指します。

すでに温泉施設として開業している施設にサウナを新設したり、旅館を大幅にリニューアルして温泉を設置したりする場合、旅館業法の適用を受けているなどの理由で公衆浴場法が適用外になるケースもあります。施設によって条件が異なるため、事前に保健所に相談することをおすすめします。

 

消防法

サウナを開業するには、消防法で定められた基準に則り、所轄の消防署の立入検査を受ける必要があります。

サウナ室やストーブの設置基準、防火管理者の選任や消防計画の作成など、満たすべき基準は多岐に渡ります。立入検査で基準を満たしていないと判断されると、修正指示によって計画が狂ってしまうケースも。現場の担当官によって判断が異なるケースもあるため、消防・施工会社を交えた事前協議は欠かせません。

また、消防法の内容や基準は定期的に見直されており、開業するタイミングで新しい情報をチェックすることも大切です。

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建築基準法

サウナ施設は建築基準法における「特殊建築物」に該当し、避難経路や内装制限などの基準を満たす必要があります。

例えば、特殊建築物は火災が発生して避難路がふさがれた場合でも、ほかのルートから避難できる「二方向避難」が義務付けられています。ただし、延床面積や設置状況など一定の条件を満たせば緩和されるケースも。

また、サウナ施設の階数や延床面積によって内装制限の内容が変わり、「難燃材料」「準不燃材料」など使用できる材料が制限されます。

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また、サウナの延床面積が200㎡を超える場合、建築確認申請の一種である用途変更の手続きが必要になることも。コストやスケジュールにも影響するポイントなので、事前にしっかり確認しておくべきポイントです。

 

営業許可申請と手続きの流れ

サウナ開業の営業許可

サウナ開業に向けて営業許可を取得する場合、以下の流れで手続きを進めていきます。

 

① 事前相談

サウナの営業許可を取得するためには、立地条件に関する規定や構造基準、衛生管理基準といった様々な法律や条例が適用されているかの確認が必要です。そのため、計画段階でサウナ施設の平面図を持参の上、保健所に相談しましょう。

また、サウナ施設は消防法や都市計画法、建築基準法といった様々な法令も関係してきます。関係部署にも、事前に相談しておきましょう。

 

② 申請の手続き

以下の書類を準備し、保健所に提出・申請します。

・公衆浴場営業許可申請書
・構造設備の概要書
・建物の平面図及びその諸施設の配置図
・付近見取図(建物の周囲400m以内の道路及び人家等の大略を示した縮尺1/2500のもの)
・90日以内に取得した定款又は寄附行為の写し及び登記事項証明書
・建築基準法に基づく検査済証の写し
・消防法令適合通知書
・許可申請手数料:23,000円(千葉県の場合)

申請書が受理されると、建築基準法や消防法などの手続きが記載された文章が交付されます。消防機関等とのやりとりもしながら、サウナ施設の設計・施工を進めます。

 

③ サウナ施設の検査を受ける

サウナ施設が完成したら、設備基準に適合しているかどうかなど保健所と消防署の立入検査を受けます。この時、『建築基準法に基づく検査済証の写し』が必要です。

 

④ 営業許可を受ける

提出書類の審査と施設検査により、基準に適合していることが認められると営業許可を得ることができます。

参考記事:【銭湯の新規参入】固定客を掴む施設づくり3つのポイント

 

サウナに必要な設備

サウナ開業の営業許可

サウナ施設をつくる場合、サウナスペース以外にも以下の設備が必要です。それぞれの設備を充実させることで、顧客満足度の高いサウナ施設にすることができます。

 

受付スペース

接客だけでなく、フロアの清掃やトイレ掃除、タオルやマットの洗濯など様々な業務を行うため、適切なスペースを設けスムーズに仕事を進められるように工夫します。

リネン庫

タオルやマットなど大量のリネンを使用するため、清潔な状態で保管できるリネン庫が必要です。適切なサイズ、場所に設置することで使い勝手がよくなります。

バックヤード

給湯やチラー等の機械室や、備品を管理したり、施設内で提供する料理をつくったり、様々な作業をするバックヤード。こちらも余裕を持ってスペースを設けておくことで、作業効率化を図ることができます。

トイレ

受付スペース周辺に設置された服を着たまま使用するトイレと、脱衣室または浴室内に設置された裸で使用できるトイレの2種類が必要です。

水風呂

サウナ利用者にとって、水風呂は欠かせません。サウナで拡張した血管を急激に冷やし自律神経系を『整える』役割があるため、サウナの側に設けます。深さや水温で差別化を図るために、数種類設置するサウナ施設もあります。

外気浴スペース

サウナ利用者にとって、外気浴スペースも必要不可欠です。水風呂から外気浴という行動を速やかに行うことでより『整う』ことができると言われているため、移動を考えて設置するのがポイントです。

自販機・休憩スペース

火照った体を休めリラックスするために必要な自販機・休憩スペースは、顧客満足度を高めるだけでなく収益を上げやすい場所でもあります。余裕を持って広めにつくるのがおすすめです。

その他にも、機械室やパウダールーム、脱衣室(ロッカールーム)が必要です。出店の規模や地域によってどんな設備が必要かが変わってくるため、サウナ施工実績の豊富な会社とともに開業準備を進めていくようにしましょう。

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サウナ開業に必要な基礎知識

 

公衆浴場法に基づくサウナの設置基準

サウナ開業の営業許可

サウナに必要な設備は、場所によって以下のような構造設備基準や適正配置基準を満たす必要があります。

 

それぞれの区画

・下足場、脱衣室、便所及び浴室は、壁で仕切るなど適当な方法で区画すること
・浴場内にある各場所は、十分な照度があるようにする

脱衣室・浴室

・脱衣室及び浴室は、男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・脱衣室の床材には不浸透性の材料を使用する
・開放できる窓または換気設備を設ける
・十分な明るさの照明設備を設ける
・利用しやすい場所に男女別のトイレと流水式手洗い設備を設ける
・浴室の床は耐水性の材料を用いて、流し湯が停滞しないように勾配をつけ、掃除しやすい構造にする
・浴室の周壁には、耐水性の材料を床面から1mの高さまで設ける
・洗い場には十分な数の給水栓、給湯栓を設ける

 

サウナ開業の営業許可

▶︎下町銭湯の風情を残しつつ、モダンなデザインが融合吉野湯

 

浴槽を設置する場合

・浴槽の外に溢れた水や洗い場で使用した水や湯が浴槽内に侵入しない構造にする
・浴槽から溢れた水や湯を再び浴槽用として使用にしない構造になっている
・気泡発生装置やジェット噴射装置を設置する場合、空気取り入れ口に土埃が入らない構造にする
・循環している浴槽水を打たせ湯やシャワーに使用しない構造になっている

屋外に浴槽を設置する場合

・屋外の浴槽につながる通路は、浴室などから直接出入りする構造にする
・男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・洗い場を設けない

 

サウナ開業の営業許可

▶︎大規模な男性専用温浴施設かるまる池袋

 

サウナ室

・男女別に分け相互及び外部から見通せないようにする
・床には必要に応じて排水できるよう、適当な勾配や排水口を設置する
・給気口及び排気口を適当な位置に設け、換気を適切に行うことができるようにする
・ 脱衣室又は洗い場から、サウナ室を見通すことのできる窓を適当な位置に設ける
・サウナ室の室内には非常用ブザーを設置する
・ 浴場内に娯楽室のような附帯施設を設ける場合は、サウナ室と明確に分ける

 

 

サウナストーブのPSEマークも要チェック!

サウナストーブのPSEマーク

サウナ室に電気式ストーブを導入する場合、必ずPSEマークがついている製品を選ぶ必要があります。

PSEマークとは、電気用品安全法で定められた基準を満たし、安全性が確保された製品に表示されるものです。サウナストーブは「特定電気用品」に分類され、PSEマークの表示が義務付けられています。

海外製のサウナストーブはPSEマークのない製品もあるので、営業許可や事前協議をする前に必ず確認しましょう。

 

新しいサウナづくりは営業許可の難易度が高い

新しいサウナの営業許可

空前のサウナブームで開業が相次いでいる現在、今までにない新しい施設やサービスづくりの重要性が高まっています。しかし、前例のないサウナ施設をつくる場合、営業許可を受ける難易度が高くなる傾向があるので特に慎重に進めなければいけません。

例えば、最近はカップルやグループで一緒にサウナを楽しみたいというニーズがあり、実際に男女混浴できる施設も増えてきています。しかし、サウナ施設の男女混浴は自治体によって判断が異なり、どのような基準で営業許可が下りるのか明確になっていません。

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また、保健所・消防署の立入検査も、現場ごとに判断が分かれるケースも多いです。特に前例のないサウナ施設をつくる場合、現場担当官の判断による影響が大きくなります。立入検査で修正指示が出ると、計画通りのサウナをつくれなくなってしまう可能性があります。

 

サウナ施工の現場調査

このようなリスクを回避するためには、サウナ施工に詳しい施工会社を交えた事前協議が必要です。サウナづくりのノウハウが豊富な施工会社なら、保健所や消防所の指示に柔軟に対応し、計画通りの施設をつくれる可能性が高くなります。逆に、ノウハウに乏しい施工会社の場合、うまく対応できず大幅に計画を変更せざるを得ないケースも。

今までにないコンセプトのサウナ施設をつくるなら、なるべく施工実績が多い会社に相談し、物件選びの段階からアドバイスを受けるのが確実です。

 

これからサウナ事業を始めるなら…

サウナ開業の営業許可

今回は、サウナ開業の知識ゼロの方に向けて、法令や営業許可を解説しました。サウナ開業には、消防申請、保健所(営業許可)申請、場合によっては建築確認(用途変更含む)申請、男女同室利用の場合は風営法申請など様々な申請をし許可を得る必要があります。どんな法令の確認が必要なのか、把握した上で開業準備を進めていきましょう。

 

サウナのタイプや費用など、サウナ関連の『よくある質問』をまとめましたのでこちらもご覧ください。
▶︎よくある質問
ぜひ、ご自身の物件選びや事業計画作成の前に参考にしていただければと思います。

 

秀建のオフィス外観

株式会社 秀建は、内装工事全般だけでなく、外構から躯体までの建築工事や電気・空調換気・給排水・温浴などの設備工事も熟練プロが対応しています。

また、建築は木造住宅から鉄骨・RC造に至るまで、内装は5坪の飲食店からリゾートホテルまで、自社で一貫した施工が可能となっているため、「建築」と「内装」などの二分された連絡・調整・依頼ロス等がありません。

施工のプロフェッショナルだからこそ、オーナー様やテナント様のニーズに合わせたサウナ施設の設計・施工を進めていくことができます。 サウナ開業を検討されているのであれば、工事内容や費用のご相談など、ぜひ一度お問い合わせください。

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